○月×日

自分でいうのもなんだが
俺は旧家出身の東大出でアメリカ帰りな上
天才肌なので没頭するときは没頭するタイプだ。
3日くらいは寝なくても風呂はいらなくても、
飯も別にどうでもいい。
仕事モードになるとあれだ、
人の話聞こえねぇから、いくらかわいい声で
話しかけられてもダメだ。わかったな、
俺仕事モードだから。
朝方、我に返ると肌寒かったので、適当に
そこらへんにあった佳主馬のタンクトップを
着て、また仕事に戻った。
午前中、佳主馬がそれを発見して
非常に怒っていた。ていうか嫌がっていた。
まったくあいつも子供だよな。
年頃の娘のような雰囲気かもし出しやがって。
謝ったけど。


○月×日

理一と喧嘩した。
虫も殺さぬ顔をしながらあいつは
本気出すと蛇みたいに噛み付いてくる。おもに俺に。
くそばかやろー
むかついてたまらねー!!!
なんで「枯葉を集めてヤキイモをしよう」を
断っただけで、俺の人生観を否定されなきゃいけねんだよ?!
寒くて外に出たくないんだよ!ヤキイモは焼いて
部屋に持ってきてくれよ!デリバリーサービス大好き!
「持ってきてだと…?だからお前はいつまで
たってもくせ毛なんだよ」から始まり、
人が変わったみたいに攻撃してくる。
なんかこうなると理一には口では敵わないというか
勝てる気がしない!でも腹が立つから一応
「くせ毛は生まれつきだバカ!!」と言い返し…たり…する…
挙句の果てに俺の弱みや恥ずかしい昔話まで
ふんだんに持ち出してきて
「--…というふうに、お前はこれまでも
散々傲慢な態度をとってきたわけだが、
どうだ?ヤキイモをするのかしないのか?
お前は変わる気があるのかな?」
と優しく本題に入ってきた…
依然としてむかついていた俺は
勝手にやってろ、俺はパス!と言った。
理一は少し目線を下に落として、
しばらく何か考えてから、
「…そうか。ならいいんだ。
お前にはがっかりだよ。昔からね。」
と呟き微笑んだ。そしてくるりと背を向けて去っていった。

俺は盛大にむかついた…
なんでヤキイモの話がこんなんになったの?
そして最後の言葉なんだよ!??
意味深な感じで締めていくなよ!!

腹の虫がおさまらぬので俺は、
理一に「昔からってなんのことだよ」と聞きにいった。
そして結局、ヤキイモをした。むかつく!
○月×日

太助「やっぱマリオカートはファミコンに限るよねー」
太助「このぎちなさがいいっていうか…おっとっと」
太助「スターきたきたー!ルールルールル…」
太助「あっ…これベストレコードきるかも…あっ」
太助「……くそ クッパ……」

独り言 すごい。
太助が居間のテレビで、どっから
発掘してきたのかファミコンをやっているが
独り言すごい。大事なことだから二回言った。
俺としては、仕事に集中できないんで
「お前、ちょっとお静かに」と促したものの
「あっすみません、おおお〜赤玉きたきた!」と
あんまり人の話聞いてねぇ…
まるで子供だな…おい

太助は侘助さんも一緒に…と誘ってきたけど
「俺、パス」と言い放った。
マリオカートで太助に勝てる可能性は
ごくごく稀であり、これは非常に危険な賭けであると
俺の脳が判断したからだ。
「でもまぁ、他のゲームなら付き合ってやらないこともないぜ。ピクロスとか」
「えぇ、ピクロス…?!なんでピクロス」
と太助はちょっと嫌な顔をした。けど俺が、
それ以外はやらない〜、と笑ってやったら、
しょうがないなぁと言って、ピクロスのソフトを持ってきた。

で、案の定17ゲーム目くらいで太助はあきて、
頭使ったらお腹へっちゃった〜と肉を食い始めた。
そこへ翔taが「いいご身分だよなぁ 昼間からゲームかよ」と
警察官みたいな服を着て現れた。いやあいつ本当に警察官だったんだっけか…
いまだにピンとこないんだよな。まぁとにかくお前勤務中だけどピクロスやる?と聞いてみた。
ばれたら俺怒られるぜ、上の人に…とブツブツ言いながら翔太はすでに
コントローラを握っていたので、俺は解きかけのステージをやらせることにした。

「まだ制限時間15分あるから余裕だな」
と言ってるそばから、なんということでしょう、
翔太は4連発で間違ったところ削っていったのである。

間違えると鳴り響くすごい嫌な効果音で(「ピィィビョギョイン!!」)
翔太はダメージを受け、固まってしまった。
翔太「え…なにこれ、この音、すごい恐いんですけど…え…?」
「しっかりしろ翔太!早く次のコマ打て!時間見てんのかお前」
俺は年上らしく、彷徨える子羊・翔太を元気づけた!

しかし効果はなかった!
ピィィビョギョイン!と最後のコマを盛大に間違え、
翔太はゲームオーバーとなった!


○月×日

夏の写真を色々見ていたら、
なんだかゴシップ的な気分になった。

俺は、青春だねぇ…と思った。