侘助のクリスマス1
みてのとおりですがサンタからプレゼントが届いた。
25日の朝、昼過ぎに目が覚めてうぅ〜んと背伸びをすると枕元に
何かあるのに気がついた。
何度確認しても衝撃的な光景だ。
俺はこう見えてアラフォーだ。アラウンド・40だ。念のため言っておく。
こんなサンタ的サプライズに素直にはしゃげる年じゃねぇ。
サンタはどこのどいつだよ?
ったくガキのようなことしやがって…
ばかやろう!胸がどきどきしてはちきれそうだよ!!
侘助のクリスマス2
ちょっと待てよ、昨晩俺何やってたっけ?
とにかく一人で居たことはいわずもがな真実だな。
風呂入って仕事の続きして、面倒な問題が出てきて
とりあえず休憩に酒飲んだな?
飲んだら飲んだで涙が出てきてちょっと泣いたら
すっきりして酔った勢いで一人で神経衰弱やって
全部カードを合わせ終わるとやっと自信が甦ってきて
安心してそのまま布団に直行したよな。
明け方に俺が寝てからサンタの野郎、イカすマネしていったってことか。
よし空けてみよう…と思う。
爆弾だったりしてな。(笑)
ちなみに(笑)っていうのは気分的にニヤっとしてる時使うぜ。悪いか。絵文字でいうと^〜^って具合だ。
まぁそれでともかく、俺はその箱に手をかけた。
侘助のクリスマス3
するとその時
「ハッピークリスマス侘助…」
と理一が障子の隙間からのぞいていた。
箱の中身への期待と理一の出現という突然のインプレッション…で
心臓が止まりそうになった。
おま…いつから居たんだよ…声かけろよ、とたじろぐと、
「いや、侘助が年甲斐もなく嬉しそうにしてたんで空気読んだんだよ」と
眉ひとつ動かさず理一は深刻な顔をしている。
いつもなら人を馬鹿にしたような、心底むかつく笑顔を見せてくるってのに、
理一はいつまでも真顔のままだ。え〜…怖い。
「べ 別に喜んでねぇよ。だいたい二日酔いで頭いてぇし、どうせお前だろこれ…。
そっちこそいい年してこんな、ささやかな可愛らしいサプライズ施してんじゃねぇよ、ガキかよ」
俺は大人な男らしくクール&ビューティーに、余裕の態度をとってみせた。
理一「俺だってそんなアホみたいな真似したくなかったさ。でもお前が、あまりにもプレゼントを欲しがってたからさ…」
は?一体なんのことだよこいつは…?
理一「置いてただろ。昨日、枕元にくつ下」
侘助のクリスマス4
くつ下なんか置くか!!
どう見ても部屋散らかってただけだろ!
理一「落ち着こう侘助」
侘助「お前が落ち着け!」
侘助のクリスマス5
まぁお前の喜ぶ顔が見れたからいいさ。じゃあの。
と理一は言い残し、大雪の中へ消えていった。
まだ誤解は解けていないようだが、とにかく箱の
中身を開けてみようと思います。
過剰包装を解き、箱のフタを開ける。
ヒートテック一年分だった。
いいんだ気にするな。俺はこういう実用的なものの方が嬉しい。ふう……
完